フロー理論

天外伺朗氏の著作でチクセントミハイのフロー理論について語られていることを知り、意外なような、納得できるような気がしました。

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

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ずいぶん昔にソニーのNEWSというワークステーションの開発と製品化を成功させた土井氏の講演を聴き、天外伺朗名義での講談社ブルーバックスの著作を知りました。いまも私の本棚にあります:

AIBOの開発など人工知能研究の一連のプロジェクトも注目していたのですが、

といった著書のあたりから私はフォローを怠ってしまい、いつのまにか新しい立場でご活躍されているご様子です。

一方で「フロー理論」に出会ったのは10年くらい前のとあるシンポジウムでの赤木昭夫先生の講演でした。

インターネット・ビジネス論

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そのころ私は音声インタフェースを効率性や使いやすさといった従来の尺度だけでなく、もっと新しい価値観で測れないか、と考えていました。
さっそくチクセントミハイ氏の著作と、社会科学分野の関連書籍を読みました。

暴走族のエスノグラフィー―モードの叛乱と文化の呪縛

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楽しみの社会学

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フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

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以前からフロー理論はテレビゲームのデザインなどの分野で注目されていました。

ゲームの大学 (じゅげむBOOKS)

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また、ウェブデザインやGUIの設計においてもしばしば「フロー体験モデル」が語られてきました。

私自身は音声インタフェースをフロー理論の考え方から評価する実験をいくつか行いましたが、満足できる結果は得られませんでした:

フロー理論の魅力は「行っている作業そのものに内在する『楽しさ』の探求」にあると思います。
以前からもスポーツ・芸術・余暇活動などに留まらず、経営や教育といった社会の様々な文脈で研究がなされてきました。

フロー理論の展開 (Sekaishiso seminar)

フロー理論の展開 (Sekaishiso seminar)

そして最近は雑誌やビジネス書で「企業経営とフロー」という議論が目立つようになりました。たとえば「週刊ダイヤモンド」11月8日号「特集・使える心理学」などで。
そろそろ時代がフロー理論の目指す世界に追いついてきたのかも知れず、また、閉塞感を打ち破る理論として、時代の要請に応えるべきときがきたのかも知れません。
私もまた、フロー体験理論についての考察を再開したいと思っています。